大長編ドラえもん (Vol.7) のび太と鉄人兵団 (てんとう虫コミックス)

大長編ドラえもん (Vol.7) のび太と鉄人兵団 (てんとう虫コミックス)

  • 作者: 藤子・F・不二雄
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/01
  • メディア: コミック
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 久し振りに大長編ドラえもんを読み返しました。その中で、「のび太と鉄人兵団」に「男女の問題」を感じました。その感想を書いてみます。男女の問題とは、「同性だから言えないこと」や「異性だから出せる感情」とか、そういう感じです。

 コミックスをお持ちの方は、手に持って、もしくは、このエントリを読んだ後に、読み返して貰えれば、良い感じかも知れません。

同性だから打ち解けれない部分。

 鉄人兵団からの先遣隊、ロボットの少女リルル。次元震によって負傷しましたが、その手当は、本人の意向と、少女型のロボットということで、しずちゃんがしました。その中で、リルルは人間に対しての認識を変化させていくのですが、その流れの中に「同性だから打ち解けられない」部分を感じました。

 睡眠薬を見破っていたのは、まだ、人間を信頼しきった訳ではなく、自分の使命との葛藤があったから…と思えます。また、性別とかじゃあなくて、まだ、意識が過渡期…というのが大きいように思えますが、例えば、手当をしたのが、のび太だったらと、想像してみたり…。

 リルルが常にしかめっ面なのは、人間への猜疑心と同時に、しずちゃんが「同性」だから…という部分もあるように思ったのです。異性だと、かいがいしくされる部分に感情的理解がスムーズであるような。

 しずちゃんとの間柄に、「同性だから…」と感じたのは、のび太との再会のシーンで感じたことから逆説的に感じた部分でもあります。以下からが、のび太との再会のシーンに関して。

異性だから出せる感情。

 167ページ。しずちゃんの出した睡眠薬を見破り、家から抜け出し、地下鉄の入り口、階段で座り込んでいるところを、のび太が発見するシーン。リルルの「のび太くん!」という第一声は、笑顔で発せらています。次のコマでは、その笑顔は失われるのですが、この「笑顔」が「異性だから出せる感情」なのじゃないか、と。

 もしも、発見したのが、しずちゃんだったら…というのは、想像するしかないですが、しずちゃんが、手当を通じて積み重ねたモノに比べると、のび太が彼女と積み重ねたモノは?と考えると、「お座敷釣り堀」を貸したことと、一時的に秘密を共有した部分くらいに思えるのですが、それでも「笑顔」が出るのです。

 再会に、既に、彼女の中の人間認識は変わっている部分も大きいと思うのですが、彼女の出した笑顔は、見つけてくれた人が「異性」という部分も大きく思えました。一言で表すと、「女の子は男の子に見つけて欲しい」ということになります。

思い悩むのは異性。

 全てが解決して、日常に戻っても、リルルのことを忘れられなくて、ボンヤリした日々を過ごしているのは…のび太です。昔、子どもの頃に読んだ時は、この部分に何の違和感もなく読んだのですが、今読むと、しずちゃんこそ、日常に戻れないのでは?と思いました。実際に、リルルと怪我の手当てなど、一緒に過ごした時間が一番長く、また、本人が担った歴史の変化によって、目の前で消失してしまうころにも居合わせた訳ですから。

 しかし、空き地にいるしずちゃんの感情は、察するしかないのですが、やはり、のび太よりも先に、精神的にも日常に戻った…という印象を受けました。

 この部分で、「女性の方が割り切るのが早いからね!」…などとは考えませんが、掲載された(当時の)コロコロコミックス的には、「女の子が女の子のことを想い続ける」ということは相応しくないと、藤子・F・不二雄先生が思われたのかな?と思いました。異性愛、同性愛まで話を広げるまでもなく、「女の子の事を思い続けるのは男の子」の方が、理解がスムーズのように思えます。

 1980年代と、現在では、作品やキャラクターの感情理解の部分は、大きく変わってきているように思えます。そんな中で、ちょっと前に公開された、リメイク版の映画のラストシーンがどのようになっているか…というのが、気になりました。

映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団?はばたけ 天使たち?DVD通常版

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2011/12/07
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 恥ずかしながら観に行ってないので、ラストも分からないのですが、私が作る立場なら、一番、精神的に日常に戻れないのは、しずちゃんのように思えますが…???観に行ったら良かったなぁ。

おわりに

 ジャンプ感想とかを書いていると、常に最新のマンガを読み続けることになるのですが、自分が小学生くらいの時に読んでいたマンガを読み返すと、新たな発見、新たな感動がありました。こういう議論も既にされているのかな?と思ったり…。後、藤子・F・不二雄先生は凄いですね。30過ぎてから、ようやく分かったような気がしました。

余談群

  • 歴史改変による矛盾の部分とかも考えてみたいと思いましたが、それは、議論されつくしてますよね。作劇上の時間軸、視点…というのを考えましたが。
  • 人語を解するロボット(リルル)には同情的なのに、作業ロボットはガツガツと破壊する。そういう部分も考えたい。けどそんなに広がらない。
  • 私がリメイクするなら、高井山の奥の大きな湖で次元震を発生させて、鉄人兵団を一網打尽的なクライマックスを作りたいなぁ。
  • 204ページ。1コマ目。学校に向かうドラえもんのコマに絶大なマンガ力を感じたのだけど、言葉で表せない。

 そうそう「リメイク版のラストはこうでしたよ!」みたなコメントはやめてね。こまねち。